東洋医学では舌からもたくさんの情報がわかります。
2019年2月7日(木)
今回は「舌」を見る東洋医学の舌診(ぜっしん)についてです。
過去にFMはしもと「ラジオdeブランチ月曜日」での健康ワンポイントのコーナーでお話した舌診(ぜっしん)についての原稿をまとめました。
舌診(ぜっしん)
舌の場所と臓腑について
舌は場所によって関連している臓腑(肝、心、脾(胃)、肺、腎)があり、大きく上焦、中焦、下焦にわけることができます。
舌の尖端の上焦には胸から上の状態、舌の真ん中の中焦には消化吸収にかかわるお腹の状態、舌の根元である下焦には下腹部より下の状態があらわれます。
舌尖部・上焦→心
舌中部・中焦→脾・胃
舌根部・下焦→腎
舌辺部→肝・胆
のぼせなどが強い場合は舌の舌尖部が赤くなったり、胃の調子が悪いと舌中部だけ苔がなくなったりひび割れができる。便秘などで便がお腹に残っていると舌根部に苔が多くなるなどが見られます。
舌の色について
次は舌を見るときの注意点と、舌の色についてのお話です。
舌というのは東洋医学では体の中の状態を反映するとされています。とくに胃腸の消化吸収に関する機能や心臓と深く関係するとされていて、大きな心配事もなどがあると舌に異常があらわれてくることがあります。
ですから心配事などが多くなると舌に異常がおこり、味覚障害などの異常があらわれることもあるんです。
舌をみるときの注意点
舌をみるときに大事なことは、食事を食べた直後や舌に色のつく飲み物を食べたあとは正しいチェックをすることができないので注意してください。
そして舌をベーっとだすときは力をいれすぎずに軽くだすことです。力をいれすぎると舌に力が入ってしまいかたくなったり、色が赤い舌になってしまいエラーがでてしまいます。
それでは実際に近くにいる人や鏡で自分の舌をみてみましょう!
舌にもいろいろなみるポイントがあるのですが、まず今日は舌の色についてお話します。
舌の色が白っぽいのか、ピンク色なのか、明るい赤色なのか、暗い赤色なのか、紫色なのか、などをみていきます。
まず舌の色でわかるのが、体が冷えているのか、それとも熱がこもっているのかということがわかります。
体の中にある体温計のような役割ですね。実際に体温計で熱をはかってないのになんか熱っぽい、そんなときでも「舌」にはちゃんと色としてでているのでとても参考になります。
大きな特徴として冷えが強い人ほど舌の色は白っぽくなります。逆に熱が強くなるほど赤い色が強くなります。
さらに熱がつよくなると明るい赤色から少し暗い赤色になってきます。きわめて体の中の熱のこもりが強いことをしめしています。
体が温まれば赤くなりますし、冷えれば白っぽくなります。お風呂の入る前後、冷たいものを食べる前後などで舌の色を観察してみてください。
また舌が日頃から白っぽい人は、貧血気味で血の不足や、体力が弱っている可能性も考えられます。
舌が紫色をしている場合は、きわめて冷えているときやオケツといって古い血が体に停滞している場合にみられます。
ここでまた注意点なのですが、舌にコケがのっているとそれが白っぽくみえることがありますが、コケではなくて舌そのものの色を観察するようにしてください。
舌の苔(こけ)について
舌のうえにでてくる苔(こけ)は口臭の原因などといわれており、近年ではコケようのブラシなども販売されていまが、東洋医学においてコケはなにかといいますと体の中や胃腸の調子が大きく反映されるとされています。
白色のコケが全体的にうっすらとあり、コケの下に舌そのものの色が見える状態が、体が健康な状態であることをしめします。
では、嫌がられるコケがどのようなときに増えるかといいますと、多くは胃腸の調子が悪いときや食べ過ぎのときです。
コケは胃腸の中の状態をあらわすといわれており、胃腸の中に余計な水、未消化物、便などがたまっているときにコケとして舌には現れてきます。
胃腸が弱っていてうまく消化吸収が進んでいないときや、食べ過ぎや水分の飲みすぎにより消化吸収が追いついていないときには、舌そのものの色がみえないべっとりとした分厚いコケとなってきます。
東洋医学では消化不良や食べすぎにより胃に熱がこもると口臭の原因となるとされています。ですからブラシでコケをおとすよりも、普段の食事を見直すほうがよいといえます。
飲酒により息が臭くなるのは、急激に胃に熱がこもるためです。
またコケの状態で冷えているのか、熱がこもっているのかも知ることができます。
冷えているときや水分が過剰となっているときは水っぽい湿潤した白いコケとなり、熱がつよいときには舌が乾燥したり、コーヒー飲んだあとの染色されたような黄色い色がコケにでてきます。
熱がこもりが強くなるにつれて、黄色から灰色や黒色と変化していきますが、黒色は危篤やガンの末期などにあらわれるので、
通常はみることはありません。
もし黒色のコケがでているときは、きわめて危険な状態である可能性があるため要注意です。
特殊なコケの状態として、コケのところどころがはげてなくなり、地図のようになることがあります。これはストレスや胃腸の調子が弱っていることをしまします。消化のよい食事を心がけてください。
舌の形や状態について
健康な舌は潤いとツヤがあり、柔軟に動かすことができますが、病気なったり疲労などがたまってくると舌の潤いとツヤがなくなり、柔軟に動かすことができなくなってきます。
舌をべーっとだしたときにぼってりと大きな舌をしている人は、舌がむくんでいる状態です。手や足がむくむように舌や口の中もむくみます。
そうなる人は胃腸が弱っている人、水分をたくさんとる人、冷え性の人です。冷えて舌がぼってりしている場合は舌の色が白っぽい色となります
逆に舌が薄くやせている人は、体のエネルギーである「気」や「血」が不足しているか、体に熱がこもってしまっている状態です。熱がこもっている場合は、やせていて舌が赤かったり、乾燥もともなうことがあります。
舌にあらわれてくる体のサイン
まずは舌のふちに波打つようにぼこぼこと歯型のようなあとがでている人です。これがでている人は胃腸が弱い人です。これがでている人はお腹があまり強くないので、暴飲暴食には十分に注意をしてください。
次は舌に亀裂ができる人です。舌の真ん中にはだれにでも亀裂があるのですが、その亀裂が深くなったり、他にも縦や横に亀裂があらわれてきます。
これはエネルギーである「気」や「血」が不足しているか、寝不足や疲労などで体に熱がこもっている状態です。舌に亀裂がたくさんある人は、まずは早く寝ることを心がけてみてください。
次は舌にトゲのような小さな赤いブツブツができる人です。これもよくみられ、体に熱がこもっている人です。
これはでる場所により熱のこもっている場所が違います。舌の先にでるのは心臓、心配事などが多いときにみられます。舌の横にでるのは肝臓、イライラやストレスが多いときにみられます。真ん中は胃腸、食べすぎなどのときによくみられます。
大きく舌の先の方は胸から上の状態、舌の真ん中辺りはおなかのあたりの状態、舌の根元あたりは下半身の状態を示すとされています。ですので、冷えのぼせが強い場合は、舌の先のほうが赤くなります。
私たちはそれを「気」の偏在をみるなどといいます。体のどこがどうなっているかということが、ただ舌をみるだけでわかってしまいます。
最後にお話する舌の状態は、薬の副作用、病気の末期、脳血管障害の前兆としてよくみられるものですので、こころあたりがあるものがあれば一度、病院での精密検査をおすすめします。
舌が硬直してろれつがまわらない。
舌に力が入らなくてうまく動かすことができない。
舌がふるえる。
舌がたれてでたままで戻すことができない。
舌をちょろちょろだしたり、頻繁に口の周りをなめる。
舌をだしたときに左右一方にゆがむ。
舌が縮こまってだすことができない。
これらがある場合は、大きな病気のサインの場合があるので注意をしてください。今回で舌の望診(ぼうしん)についてのお話はひとまず終わりたいと思います。
舌をみるだけでも、冷えや熱のこもり、お腹の状態など多くのことがわかることを知ってもらえたのではないでしょうか。
舌は誰でも手軽にチェックすることができますので、自分の舌に興味をもって観察をしてもらえればうれしいです。