和田先生の日々雑感(152)「茨木市と『針聞書』」

2018年11月28日(水)

こんにちは、東洋医学ライフを提案する橋本市の隠れ家鍼灸院こと蓬庵の和田です。

11月24日、25日と大阪府茨木市の立命館いばらぎフューチャープラダで開催された第46回日本伝統鍼灸学会学術大会(第27回日本刺絡学会学術大会併催)に参加してきました。

鍼の聖地茨木『針聞書』

はじめてチラシを見たときに、「鍼の聖地、いざ茨木へ!」書いてありビックリしました。「えっ、いつから茨木が鍼の聖地になったの?」というのと、茨木市で開催ということです。

週に2回は茨木市の師匠のところに行っています。そんな茨木が開催地というのです。

茨木市は『針聞書(はりききがき)』という戦国時代(永禄11年10月11日、西暦1568年)にかかれた針治療の書物にゆかりのある地域です。

『針聞書』という書物は学生のときに授業で先生が紹介してくれて知り、すぐに『戦国時代のハラノムシ』という本を買いました。愛らしい虫がたくさん描かれていて、とても興味をもちました。

当時は『蟲師(むしし)』という漫画も人気があり、より印象に残った記憶があります。

Google画像検索【針聞書 ハラノムシ】

本年8月の朝日新聞でも紹介されています。記事は蓬庵にも置いていますので興味がある方は声をかけてください。

著者には摂州住人上郡茨木二介元行と記載があり、現在の大阪府茨木市周辺を出身とする元行という人が書いたとされています。

「針聞書」

4部で構成されており、針の基本的な打ち方、病気別の針の打ち方などを記した聞書、灸や針を体のどこに打つか示した図、体の中にいる虫の図とその治療法(針灸や漢方薬)、臓器や体内の解剖図で構成されています。

九州国立博物館HPより

この書物は日本での針術の記載としてはとても古いもので、医学(針術)の発達を知る上でとても貴重な資料となっています。病の原因をムシで表現するという他に類をみない特殊な書物となっています。

なによりこのムシたちがとても愛らしく、所蔵されている九州国立博物館では人気キャラクターとして成功をしています。

学会では鍼の聖地茨木と入った赤いバッグを頂きました。みんなこれに抄録などをいれて会場をうろうろしてました。持っていなかった関連書籍2冊を買いました。蓬庵に置いていますのでよかったら見てみてください。

手作りのハラノムシ図鑑というのが会場の子ども向けのコーナーにあり、よくできていたので少し分けてもらいました。数に限りがありますが欲しい方どうぞ!

2日目には関連する講演が長野仁先生からありました。楽しみにしていた講演のひとつです。朝の9時からだったので6時過ぎの電車に乗って茨木にむかいました。

基調講演『針聞書』編纂450周年記念講演
「今新流開祖・茨木元行の著作と臨床」
座長:東 昇(京都府立大学文学部歴史学科准教授)
演者:長野 仁(森ノ宮医療大学大学院教授)

講演で茨木市での開催にいたった経緯の説明もありました。また市制施行70周年を迎える茨木市との共催になり、縁あり茨木市史にも『針聞書』のことが記載されるなど鍼の聖地という土台がととのったということでした。

まだまだ著者については肖像画なども見つかっておらず詳細なことがわからない部分も多いということで、関連する書物が発見されることを期待したいと思います。

また、茨木市や『針聞書』に関連する市民講演も多数ありました。これらが誰でも無料で聞けるとはとても太っ腹な内容です。残念ながら他に聞きたい講演と重なっていたのですべては聞けませんでした。

「日本の妖怪文化―『針聞書』の思想的風土―」
司会:東 昇(京都府立大学文学部歴史学科准教授)
演者:小松 和彦(国際日本文化研究センター所長)

「戦国時代の茨木氏と茨木城 ―『針聞書』の歴史的背景―」
司会:東 昇(京都府立大学文学部歴史学科准教授)
演者:仁木 宏(大阪市立大学大学院文学研究科教授)

小松和彦先生の「日本の妖怪文化―『針聞書』の思想的風土―」はとても興味深かったです。知りませんでしたが小松先生は妖怪などの本を多数だされている妖怪研究の第一人者なんですね。

仏教の偶像化から神仏だけでなく鬼や妖怪なども絵に描かれるようになった。また病気の原因が「鬼」といった見えない脅威から、身近な「虫」への変化についてお話されていました。

病気→鬼→シャーマン(僧、神職、陰陽師など)による呪術・加持祈祷から、医学が発達して病気→虫→医師・針師による医療という変化が見られるということでした。

昔は天変地異や病気は大いなる神々や「鬼」によっておこると考えられていました。そのため病気の絵図には、祈る僧や病める人にとりつく鬼の様子が描かれているそうです。

「鬼(気)」→儒教、道教、仏教などの影響

もののけ【物の気・物の怪】

古代→大蛇、龍、自然、中世→つくも神、近代→幽霊、怨霊、などという変化があるそうです。

今回は『針聞書』について知識を深めることができてとても勉強になりました。

今週まで気づきませんでしたが通勤途中にもチラシが貼ってありました。市民講演に一般の方も多数参加されていました。

九州のお土産

たまたま九州に出張に行っていた師匠からお土産で九州国立博物館のハラノムシグッズを頂きました。頼んでいたわけではなかったのでビックリしました。買ってまもない『虫の知らせ』が2冊になりました(笑)

ハラノムシの手ぬぐいが可愛くていいですね。

残念ながら九州国立博物館では複製の『針聞書』の公開だったそうです。実物は1年のうちで限られた期間のみのようです。

記事の関連サイト

日本伝統鍼灸学会
http://jtams.com/

立命館いばらぎフューチャープラダ
http://www.ritsumei.ac.jp/futureplaza/

九州国立博物館
https://www.kyuhaku.jp/collection/collection_harikiki.html