熱中症の症状と熱中症になったときの対応を解説しました。
熱中症
熱中症と体温調節
ヒトは体温を一定にたもっている恒温(こうおん)動物です。体温が上がってくると、体表からの放熱や汗をかいて熱を体から逃がして体温を調節しています。
周囲の気温が低いときには体表からの放熱が大きくなり、気温が高いときには体表からの放熱が少なくなるので、汗をかくことにより体温をさげる働きが大きくなります。
運動をしているときなどには、よりたくさんの熱が体内でつくられるので汗をかくことはとても大事なことです。
脱水症状
暑いときにはヒフの血管を拡張させて、血流量をふやし体表からの放熱をうながします。そして汗をかくことにより、血管の中を流れる水分量が少なくってしまいます。
それにより血管内の水分が不足してしまいますと、血圧が低下して、立ちくらみ、失神、疲労感があらわれます。
また、汗によってナトリウムやカリウムなどの電解質が不足すると、筋肉のケイレンがおこります。こういった状態を熱中症といいます。
脱水が続くと命も危険
水分が不足して脱水の状態が続きますと、汗により熱をさますことができなくなります。
また、血圧をあげようと血管が収縮して細くなってしまい、体表からの放熱もできなくなります。
こうなると、体温の調節ができなくなり体が高温となり、オーバーヒートをおこしてしまいます。内臓機能にも影響がではじめ、最悪の場合には死亡することもあるので注意が必要です。
熱中症のレベル
熱中症は、大きく3つに分類されます。
1度 軽症
1度は軽症、脱水により血圧が低下して失神、大量の発汗により電解質の異常をおこして筋肉のこむらがえりなど熱ケイレンがおこります。
2度 中等症
2度は中等症、脱水により血液がすくなくなり血圧の低下、軽度の体温の上昇、ノドのかわき、ガンガンと痛む頭痛、吐き気や嘔吐、体のだるさなどの疲労感がおこります。
3度 重症
3度は重症、重度の脱水、体温調節ができなくなりショック症状、汗がでなくなる、体温が高温になる、意識が不明瞭で返事がおかしい、全身のケイレン、自力であるけない、最悪の場合には内臓が機能をたもてなくなり死亡することもあります。
熱中症の処置方法
熱中症は早い段階で対応すれば簡単な処置で改善します。熱中症は暑い野外だけでなく室内でもおこります。初夏や雨の日の翌日など、翌日より急に気温があがった日は要注意です。
野外でおこなうスポーツはもちろんのこと、空調を嫌うバトミントンや卓球、厚手の着衣をみにつけて競技をする剣道などの屋内スポーツも注意が必要です。
初期症状である、頭痛、吐き気、めまい、ふらつき、筋肉のけいれんなどがみれらた場合は熱中症をうたがいましょう。
軽症
軽症の場合は、まず涼しいところに移動する、冷房などがきいた室内や車内がよいでしょう。近くにそのような場所がない場合は風通しのよい日陰に移動し薄着になりましょう。
嘔吐に注意いながら、水やスポーツドリンクなど冷たい水分をとり、足を少し高くして寝かせ経過をみましょう。症状が改善しない場合は病院を受診します。
中等症・重症
中等症、重症の場合はただちに病院へ搬送する必要があります。
意識が不明瞭で判事がおかしい、体温が40度以上あるなどの場合は、すぐに救急車を手配し、涼しいところに移動して体温を下げる努力をします。
服を脱がし、温水を霧状にふきかけて風をおくり、体温を下げる方法が効果的です。呼びかけに反応があり、水分をのむことが可能なら、少しずつ冷たい水やスポーツドリンクなどを飲ませましょう。
熱中症の予防方法
熱中症を予防するためには、まず水分補給が大切です。一度にたくさんの水分を飲んでも吸収することができませんので、こまめに少量ずつ飲むことが大切です。
ノドがかわいていなくても、気づかないうちに脱水をおこしていることもあるので、定期的に水分をとるようにしましょう。
また、節電や暑さを我慢することなく、暑い日には冷房を使用しましょう。
吸収率の高い経口補水液
より水分の吸収率を高めるために経口保水液など専用の飲料を使用したりするのもよいでしょう。水分を十分にとれていることで汗をかくことができ、体温の上昇をおさえられます。
水分摂取の注意
ここで注意をして欲しいのは、ジュースやアルコールからは十分に水分を吸収することができません。
市販のスポーツドリンクは、たしかに電解質が含まれているものもありますが、実際はジュースとさほどかわりません。スポーツドリンクだけでなくお茶や水も一緒に飲むようにしてください。