春の七草と小寒についてきていきます。
2019年1月7日(月)
今回は季節のはなしと伝統行事について書いています。
季節のはなしと伝統行事
二十四節気 小寒(しょうかん)
冬至から数えて15日目になる1月6日頃に、二十四節気の1つである小寒をむかえます。
二十四節気とは太陽の運行を基準にして1年を24等分し、約15日ごとに分けた季節のことで、中国の華北地域の気候が元になっています。
小寒は、寒さがもっともつよくなるやや手前の頃のことで、小寒の次にやってくるのが、大きく寒いと書く大寒(だいかん)です。
また小寒は寒(かん)の入りともいい、小寒から大寒の次にやってくる立春までの期間を寒(かん)の内(うち)とも言います。
人日の節句
また、1月7日の行事といえば何かわかりますか?
日本では、1月7日の朝に1年の無病息災を祈って七草粥を食べる習慣があります。お正月で美味しいものを食べて疲れている胃腸を休める作用があります。
七草粥はお正月の行事として定着していますが、本来は1月7日の「人日(じんじつ)」の日に行われる「人日の節句」の行事で、五節句のひとつです。
五節句とは、江戸時代に「重要な年中行事」として「年に5日」の祝日が制定されました1月7日の人日の節句、3月3日の桃の節句、5月5日の端午・菖蒲(しょうぶ)の節句、7月7日の七夕・笹(ささ)の節句、9月9日の重陽(ちょうよう)・菊の節句です。
人日とは文字通り “人の日”という意味で、中国の前漢の時代に、元日は鶏、2日は犬、3日は猪、4日は羊、5日は牛、6日は馬、7日は人の日としており、8日に新年の運勢を占っていたことに由来します。
さらに唐の時代には、人日の日に「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」という7種類の若菜を入れた汁物を食べて、無病息災を願うようになりました。また、官僚の昇進を1月7日に決めたことから、その日の朝に七種の若菜をいれた汁物を食べ、立身出世を願ったといわれています。
この風習が日本へ伝来し、年のはじめに若菜を摘んで自然界から新しい生命力をいただく「若草摘み」という日本古来の風習と結びついて「七草粥」となり、平安時代の行事として七草粥を食べるようになったといわれています。
さらに、江戸時代に「人日の節句」として五節句のひとつに定められ、定着していきました。
また、7日といえば松の内の最後の日(関西では松の内は15日までとされることが多い)にあたります。
七草粥が定着した背景には、お正月のご馳走に疲れた胃腸をいたわり、青菜の不足しがちな冬場の栄養補給をする効用もあり、この日に七草粥を食べることで、新年の無病息災を願うようになりました。
地域により違いはありますが、一般的に知られている七草を紹介します。私が聞いた話ではギザギザの葉のものが邪をはらうと、他の野菜の葉を使う方もいるようです。
芹(せり) ‥水辺の山菜で香りがよく、食欲を増進します。
薺(なずな)‥別名はペンペン草、江戸時代にはポピュラーな食材でした。
御形(ごぎょう)‥草餅の元祖といわれており、風邪予防や熱をさます効果があります。
縷(はこべら)‥目によいビタミンAが豊富で、腹痛の薬にもされていました。
仏の座(ほとけのざ)‥別名はタビラコ。タンポポに似ていて食物繊維が豊富です。
菘(すずな)‥蕪(かぶ)のことで。ビタミンが豊富です。
蘿蔔(すずしろ)‥大根(だいこん)のこと。消化を助け、風邪の予防にもなります。
最近では、スーパーでも七草のセットやフリーズドライのもが市販されています。七草のすべてをいれる必要はないので、手に入る七草を使って七草粥を作ってください。
参考文献:『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―』『福を招く 食と暮らしの七十二候』、フリー写真素材【写真AC】より:胃腸にやさしい七草粥(おじや)、春の七草