東京で「てい鍼ワークショップ」を開催しました。
2019年6月17日(月)
こんにちは、東洋医学ライフを提案する橋本市の隠れ家鍼灸院こと蓬庵の和田です。
先日の日曜日に、鍼灸師の先生、鍼灸の学生さんが対象ですが、好評だった蓬庵のてい鍼ワークショップを東京でも開催しました。
今回は、東京都、千葉県、そして北信越からも参加をして頂きありがとうございました。
※てい鍼は一般医療機器非能動型接触鍼などとして分類されることがあります。今回は、てい鍼の特性を知るための研究目的で作成しております。また、和歌山県福祉保健部健康局薬務課に助言を頂き安全に留意して実施しました。
第1回 東京てい鍼ワークショップ
東京で開催
今回は東京でも開催をして欲しいという要望があり、作業と実技ができる場所がみつかれば東京でも開催するという話をしていたのですが、ありがたいことに場所を提供して頂ける方がみつかりました。
募集をして半日で定員がうまりました。午後に東京での第2回の募集をしたのですが、それも半日で定員がうまったので本当にありがたいことだと思います。
東京で開催するのは不安も多かったですが、新たに工具などの道具も準備して行ってきました。
あまり新幹線に乗ることがないので、切符を買うだけでも間違わないかとドキドキしました。
いざ東京へ!
4時過ぎに起きて橋本駅(南海電車)の始発に乗りました。5時6分発の電車でしたが意外と乗っている方が多かったです。
新大阪駅で朝ご飯と関西のお土産も買って東京にむかいます。指定席をとっていたのですが、隣の席が空席だったのでゆっくりとむかうことができました。
資料を見直しながらむかいます。内容は状況に応じて変えていくのでレジメ通りにいくかはわかりません。
予定通りの時間に船堀駅(東京都江戸川区)に到着しました。駅をでるとタワーのある建物が見えました。船堀タワーというようで、無料の展望室があるそうです。
今回は、はればれ鍼灸院整骨院・整体院(東京都江戸川区船堀4-8-4)様をおかりしました。院長の丸山晴嗣先生ありがとうございました。
てい鍼の座学
簡単にお互いの自己紹介をしてはじめていきます。関西のノリが通用しなかったらどうしようかと心配でしたが、笑うところはきちんと笑って頂き、なごやかな雰囲気ではじまってよかったです。
今回は1年生の学生さんもいたので新しく「気」を理解してもらうための資料も作りました。「気」の過不足なく円滑に全身をめぐっていると人間は健康な状態といえます。
てい鍼の古典的な位置付けや注意点などを説明して、実際にいろいろな形や素材の鍼を触ってもらいました。ワークショップでも盛り上がる時間のひとつです。
鍼の形状による違い、素材による感じ方の違いを知ることはとても良いことだと思います。自分がうけて心地よい鍼、使いやすい鍼を考えながら手にしてもらいました。
これは重い、これは冷たい、これはピリピリ、これは温かい、そういったことを感じてもらいました。
普段に触ることなのない銀や金の鍼も意識して触ってもらいました。金の鍼の感覚を覚えておくことで、他の素材の鍼でもイメージして金のような効果をだすこともできます。
またデモンストレーションを全員でやりました。腕の上げやすさでやったのですが、経絡、経穴、局所、反対側、遠隔などパターンをかえてやりました。みなさん何かしらの変化を感じることができました。
寛永5年(1665年)の『十四経発揮』
こんな資料ももっていきました。江戸時代の寛永5年(1628年)に出版された354年前の『十四経発揮』です。状態が悪くバラしてファイリングして保存しているので一部のみもっていきました。
経絡の説明だけならスマホで画像をみてもらってもいいのですが、学生さんには本物にふれて欲しいと思います。
実際に紙質などを手に取ってみてもらいました。きっと何人もの東洋医学を勉強した先生が手にしてきたものと思います。
ちょっと不思議系
ヒーリングのテクニックになりますが、被験者とは少し離れた何もない場所で違う方向をみて、その方のツボをイメージして施術をするという方法もやりました。
被験者の方には触れていないのに鍼を刺してひびく感じがするという、ちょっと不思議なテクニックです。
それでもきちんと変化が出ました。「気」って不思議なんですが、そいうものなんです。興味をもってもらうために少しやってみました。
これはヒーリングのテクニックなので鍼灸師はできなくても大丈夫ですが、できるようになると普段の臨床で便利な場面もあったりします。
午前の部は自分が作成する鍼をイメージして終了です。
お土産
てい鍼を触っていると「気」が動くので、「気分が悪くなったり、お腹が減ってきたら途中でお土産のお菓子を食べていいですよ。」といっていたのですが、突然にポリポリと音がしました。
東京の方は律儀に講義を受ける方が多いのかと心配していましたが、自由な参加者で安心しました(笑)
お昼休憩
今回は近くに食事をできるところがあるということだったので、みんなで昼食にいきました。自由に話してもらう時間をとることでお互いの信頼関係を高めてもらいます。
昼からは協力して作業や実技をしてもらいますから、こういった時間も大切なんです。私は山椒がよくきいた麻婆豆腐を食べて舌とノドがヒリヒリでした。
てい鍼の作成
今回も素材から希望の長さを切り出してヤスリで形をととのえていきました。
女性の参加者が多かったので少し心配していましたが、やはり思っていたよりも時間がかかりました。それでも皆さんなれない工具を使って頑張ってくれました。
作業の時間は集中しているのであっという間にすぎていきます。
作業は性格がでてきます。小さな傷なら気にならないという人もいれば、小さな傷も綺麗にしたい人もいます。使っているとどうしても傷がつくのですが、頑張ってみがけば必ずピカピカになります。
あわただしい作成になりましたが、なんとかみんな形にはなりました。
さらにこだわりたいという方は、作った鍼を銀などで鋳造をしてもらったらよいと思います。
複製したいものをおくったら1本からでも鋳造で作ってくれるところがあります。
そして説明でもいいましたが、やはりスリオリシの形などは鍼メーカーさんのものの方が精度が高いのでオススメです。
少しだけ作業中の様子を動画(このページのみの限定公開)で紹介します。
今回は室内でしたが下にひくシートと台を用意してもらうことで問題なくおこなうことができました。今後は外部でおこなうときの場所の選択肢が増えそうです。
てい鍼の実技の前半
作ったてい鍼で実技をします。今回も、なでる・押す・叩くといった物理的な刺激ツールとしてのてい鍼の使い方にはじまり、経穴(ツボ)をや経絡を使った使い方をやっていきました。
経穴を使った練習では、下腹部にある関元穴を使い呼吸や目の輝きの変化で「気」のめぐりを体感してもらいました。夢分流の「火曳之鍼」を紹介し、具体的な臨床での使用方法を紹介しました。
お腹の状態をよく観察して、冷えや緊張がある場所を作ったてい鍼とっていきます。鍼をあてて「気」が集まってくるのを待つ、またトントン軽く叩いて散らしていく、被験者の方にあわせて施術してもらいました。
全員にははなせなかったのここに書きますが、お腹の観察ではおへその状態も大事です。おへその形により「気」の偏在や体のひきつれを確認できます。
お一人の方はおへその形がすり鉢状でなく縦にひきつれてくぼみがなくなっていました。お腹の緊張部位(下腹部の任脈上、左の肋骨の下部あたり・夢分流では脾募)を軽くてい鍼で接触していくだけで、きちんとすり鉢状のおへその形になりました。
おへそは丸いすり鉢状で、浅いよりも深いほうがいいといわれています。
てい鍼の実技の後半
後半は「意識」や「イメージ」の応用の仕方、ホシャを意識した施術の仕方、ヒーリングのテクニックを使った体に鍼が触れない施術についてもやっていきました。
わからないながらも、頭から足にかけて鍼を流れるように動かしたときに特定の場所で鍼のひっかかる感じや重い感じなど、何かしらの変化をわかったと思います。
空中で動かして鍼がひっかかる場所には何かしらの停滞(実や熱の反応)がおこっていることが多いです。また冷えや虚の場合もあります。
より詳しく筋肉やツボの反応を確認していくことが大切です。
姿勢のはなし
また意識して伝えたことに施術中の姿勢のはなしがあります。
下半身・膝の柔軟性が大事なこと、お腹(肚)を意識すること、肩の力を抜くこと、頭が下がって前かがみにならないように注意して、視線をうまく使うことをいいました。
鍼に覆い被さると邪気を受けやすいですし、前かがみになると手や肘が窮屈になり重くなり鍼が安定しません。受けてる側にも姿勢による違いを感じてもらいました。
視線も目力や視線を感じると言ったりしますが、実は視線も大事だったりします。
おまけ
実技中に気になっていた靴下の柄があるのですが、大仏棒って何でしょうか?、表には大仏の絵がかいてありました。
はいてる方はずっと大仏様と思っていたそうですが、どうみても大仏棒です。
まとめ
11時~18時までの7時間のワークショップだったのですが、それでも時間が足りないぐらいでした。時間が無制限ならそのまま夜までやってしまいそうです。
参加者の方もあっという間だったと思います。今までに参加された皆さんが言われるのが、こんなに参加者みんなと仲良くなる勉強会ははじめてだということです。
意識してそういう雰囲気を作っているのもありますが、信頼関係は施術の効果にも関係するので大事なことです。
最後は、かめはめ波のポーズ(邪気をとばしてる?)で記念撮影!
長時間でしたが終始なごやかで楽しい雰囲気でおわれて良かったです。今回は女性ばかりなので緊張していたのは内緒です。
ぜひやったことを臨床や家族や友達にためして、てい鍼を自分のものにしていってください。参加頂きありがとうございました。
JR総武線と都営新宿線が遅延していて新幹線に間に合わないかと少し心配しました。なんとか20分前に品川駅につけました。
難波駅まで帰ってきてようやくリラックスできました。
また2週間後に東京です!
プライベートブログ編
【緊張の東京出張】
田舎者が東京に行って緊張したというお話です。こちらの投稿よりもたわいのないことを書いています。
https://yomogian.info/20190618-2/
過去のワークショップの記事
参加者のTwitterのツイート
和田先生のてい鍼ワークショップ✨マイてい鍼出来たー!!⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝ pic.twitter.com/rQEwi2Fkp9
— ひもりん (@kbcog_himori) 2019年6月16日
銅のてい鍼イエイ pic.twitter.com/5BpdFdIZy9
— とも@鍼灸学生ブロガー (@tmotsubo) 2019年6月16日
参加者の感想
名前(Sさん)職業(鍼灸師)地域(北信越)性別(女性)
作る作業も楽しかったですが、てい鍼のワークショップは使い方の基本からしっかり学べ、体感することができてとても勉強になりました。明日からしっかり治療と自分のケアに役立てたいと思います。ありがとうございました。
名前(Mさん)職業(鍼灸学生)地域(東京都)性別(女性)
学校では学べないもの、様々な複雑の鍼を見せて頂き、大変勉強になりました。特に、てい鍼は東京ではなかなか勉強会がないため貴重な機会となりました。子供に応用していきたいです。ありがとうございました。
名前(Oさん)職業(鍼灸学生)地域(東京都)性別(女性)
てい鍼を自分でつくるのは貴重な機会でとてもおもしろかったです。参加者の方、先生、初対面でしたがみんな明るく楽しい方で、あっという間のワークショップでした。資料や説明などもとてもわかりやすかったです!、ただ、気はなかなか捉えられなかった、、、修行します!
名前(Uさん)職業(鍼灸学生)地域(東京都)性別(女性)
身体が軽くなるのを感じました。感じやすいので相手からもらわないように練習していきたいと思いました。
名前(Kさん)職業(鍼灸学生)地域(千葉県)性別(女性)
鍉鍼を自分の好みのサイズや形で作ることができた。気の流れや塊、波動の様子が少し感じとれ、抜く(瀉す)感覚がわかってきました。
名前(Tさん)職業(鍼灸学生)地域(東京都)性別(女性)
東洋医学での診察の仕方や言葉の概念なども丁寧に説明して下さり、わかりやすかったです。てい鍼を作る工程→実際にてい鍼を使用するまでの全ての内容がとても充実しており、あっという間の時間でした。術者の姿勢まで細かくチェックしてもらえたので学びがたくさんありました。はるばる東京までありがとうございました。