好評だった蓬庵での「てい鍼ワークショップ」の第3回を開催しました。
2019年7月29日(月)
こんにちは、東洋医学ライフを提案する橋本市の隠れ家鍼灸院こと蓬庵の和田です。
鍼灸師の先生、鍼灸の学生さんが対象ですが、好評だった蓬庵でのてい鍼ワークショップの第3回を7月28日に開催しました。
今回も愛知県、兵庫県、大阪府と遠方からの参加ありがとうございました。
※てい鍼は一般医療機器非能動型接触鍼などとして分類されることがあります。今回は、てい鍼の特性を知るための研究目的で作成しております。
また、和歌山県福祉保健部健康局薬務課に助言を頂き安全に留意して実施しました。
第3回てい鍼ワークショップ
てい鍼ワークショップ
ワークショップもプレや東京もあわせると7回目となりました。今回はキャンセルの方もあり3人という少人数になりましたが、少ないなりに充実した内容になったと思います。
てい鍼の座学
午前中はまず資料を使って、古典からみた解釈、てい鍼の特徴、施術の適用範囲、作成に関する関係法規など説明しました。
そして、いろんな材質や形状の鍼に触れてもらいました。同じ材質でも形状により違うこと、また材質により違うことを一人ずつ感じてもらいました。
このときの表情をみていると鍼が好きな人はすぐにわかります。その日のワークショップの雰囲気を決める瞬間でもあります。
実際に手に取ってツボにあててみます。材質が違うと随分と使い心地も変わってきます。自分が使いやすい、心地よい鍼について考えます。
実際に施術の例を紹介して、腕の上げやすさなどで体感してもらいました。
てい鍼で、なでる、おす、たたく、かざす、といったことを使い皮膚の緊張部位をゆるめる、肩に関係するツボや経絡をつかう、直接に肩や首に施術する、井穴をつかう方法を紹介しました。
「こんなに簡単に体は変わるんだ。」と驚かれていました。実際には症状の重い方はそう簡単には変わりませんが、健康な方なら気の動きも活発なので体の変化も早いです。
てい鍼の作成
今回はみなさんが6㎜×80㎜で作成することになりました。一番スタンダードに使いやすいサイズだと思います。
今回もひたすら削って磨いていきます。
最初は使い慣れない道具にぎこちないのですが、少しするとたくみに工具や手を動かしてみがいていきます。
今回の参加者の方はまじめな方が多く、集中して寡黙に作業をされていました。参加者により雰囲気も随分とかわります。
少し細めにしたいということだったので少し作成に時間がかかりました。
作業に手袋は必須です。無事にケガもなく終わることができましたが、個人的にやろうという方は自己責任で安全に留意してやってください。
てい鍼の実技
まずは井穴を使ったアプローチをやりました。井穴にも気軽に施術できるのがてい鍼の良いところでもあります。急性の症状には反応がでやすい場所なので覚えておくと便利です。
まずは井穴診をしてどこを使うのかを確認します。作業の後なので肩や腕の負担が大きかったはずなので、関連する経絡の井穴に反応がでていると思います。
受けてる人が不快に感じないように、軽くチョン!と井穴にあてていきます。今回は経絡の疎通を目的とした施術です。
てい鍼の範囲に限らず、えん鍼など大きく接触鍼のテクニックをやっていきました。
最初は皮膚や筋肉の緊張部位をねらって施術していきます。
触診は、まず皮膚の上を滑らすように軽く、そして必要があれば深くみていきます。皮膚のレベル、肌肉のレベル、筋肉のレベル、どの深さで施術するのかを考えてやっていきます。
なでるように施術して緊張部位を緩めていきます。しめりや虚の部位は少し鍼をとめて補われるのを待ちます。慣れていたら経絡の流れも意識していきます。
スムーズな触診と手の動きは練習して慣れるしかありません。
肩こりなど直接に気になる場所にも施術していきます。肩や頭の施術をうけて眠くなってきたという参加者さん、心地よい施術は眠気を誘います。
ツボの練習では夢分流の火曳気之鍼(ひびきのはり)といって、下腹部の関元穴に鍼をする方法をやりました。この施術だけでも上手にやるととてもスッキリします。
鍼のあて方や姿勢に注意をして施術していきます。姿勢によって鍼の効果も変わってくるので、姿勢や目線のコツをおはなししました。
関元穴は、呼吸が大きくなる、目の輝きがでてくることを指標とします。
背部や腰痛の施術の練習もやりました。てい鍼を2本使う方法や2人で協力して施術する方法をやりました。2カ所のツボを同時に使うことでより効果をあげれる場合もあります。
また良いところとして、てい鍼は服の上からでもできなくはありません。服を脱げない状況でも対応することはできます。金毒アレルギーの場合にも有効だと思います。
最後は少しヒーリング系のテクニックも紹介しました。大きく全身の気を調節するような方法です。
ワークショップのまとめ
今回は少人数だったので、少し時間にも余裕があり実技も丁寧に指導できたと思います。作成もスリオロシタイプは少し時間がかかるのですが、頑張って作ってくれました。
とても良いてい鍼ができたと思います。
最後に記念写真、10~18時という長時間のワークショップとなりましたが、充実した内容となって良かったです。ありがとうございました。
参加者の感想
名前(Kさん)職業(鍼灸師)地域(愛知県)性別(女性)
鍼の種類を気にしすぎていた事がわかりました。接触鍼という事にとらわれすぎず、ある意味自由に使えれば良いのかな?と肩の力が抜けた気がします。お腹の施術を受けた時の自分の反応の良さに驚きました。とても中身の濃い時間をありがとうございました
名前(Mさん)職業(鍼灸師)地域(大阪府)性別(女性)
気を感じるのがむずかしかったので、たくさんの患者さんにふれたり、手の練習をして感じとれるようになりたいです。
名前(Tさん)職業(鍼灸師)地域(兵庫県)性別(男性)
てい鍼はホシャの手技しか教わらなかったので、大変ためになりました。敏感肌の人への鍼灸治療を試行錯誤していたのでありがたいです。また機会を作ってワークショップにも参加したいです。ありがとうございました。