お灸の種類とやり方

蓬庵で使っているお灸、お灸の種類とやり方を紹介しています。

目次

お灸(Moxibustion)

蓬庵とお灸

蓬庵の蓬(よもぎ)という字は、お灸で使う艾(もぐさ)ヨモギからできているところから名前をとっています。

もぐさ)の原料はヨモギ

お灸につかう艾(もぐさ)は、乾燥させたヨモギの葉を精製してできています。

他の鍼灸院と比べるとお灸をよく使う方だと思います。必要に応じて、八分灸、透熱灸、棒灸、箱灸を使っています。

お灸ともぐさ

お灸の種類

直接灸(ちょくせつきゅう)

皮膚の上に直接もぐさを整形した 艾炷(がいしゅ) をおいてお灸をするやり方です。

お灸のやり方
お灸のやり方

ひとつのツボに必要なだけお灸を重ねてやっていきます。このときに燃えた灰を取り除く場合と、灰の上に重ねていく場合があります。

お灸の数は壮(そう)

お灸の数は壮(そう)であらわします。

1つなら1壮、3つなら3壮、たくさんのお灸をする場合は多壮灸(たそうきゅう)といったりもします。

お灸の壮数は症状や体質により変わってきます。多い場会ですと数十から百壮ほどお灸をする場合もあります。

お灸のあとにできる火傷を灸痕(きゅうこん)といいます。火傷が残るものを有痕灸(ゆうこんきゅう)、火傷が残らないものを無痕灸(むこんきゅう)ともいいます。

艾炷(がいしゅ)

綿のような状態のもぐさを三角錐状に成形したものを艾炷(がいしゅ)といいます。

モグサの写真です

指の腹でもぐさを転がして、その形に成形することを「もぐさをひねる」、「もぐさをもむ」、「もぐさをもみだす」といいます。

お灸をひねる写真です

透熱灸(とうねつきゅう)

昔から続く火傷(やけど)が残るお灸です。

皮膚の上に直接もぐさを整形した艾炷(がいしゅ)を置いて、お線香で火をつけて消さずに燃やしきります。もぐさの大きさは必要に応じて調節します。

大きさの目安として、米粒の大きさを目安とした米粒大(べいりゅうだい)、米粒を半分にした半米粒大(はんべいりゅうだい)がよく使かわれます。

さらに糸の用に細くしたお灸を糸状灸(しじょうきゅう)といいます。

深谷灸法

現代も透熱灸を使ったお灸のやり方として深谷灸法が有名です。

深谷灸法ではお灸の熱さを緩和するのに竹筒を使います。

深谷灸の竹筒

▶ 深谷灸法について詳しく見る

知熱灸(ちねつきゅう)

お灸が8割ほど燃えたところで火を消したり、熱く感じたところでお灸を取ってしまいます。

八分灸

米粒大や半米粒大の艾炷(がいしゅ)を8割ほど燃えたところで火を消すやり方を八分灸といいます。よく鍼灸院で使われるやり方で火傷のしない心地の良いお灸です。

学生の頃は八分灸をしているのに透熱灸になってしまうことも、、、心地の良いお灸をするには高い技術が必要です。

焼灼灸(しょうしゃくきゅう)

足の裏にできる魚の目(ウオノメ)など角質化した部位にお灸をするやり方です。

硬くひねった艾炷(がいしゅ)によって角質化した部位を焼くことで、魚の目やタコをきれいにとることができます。

硬くひねることで燃えている時間が長く温度も高くなります。魚の目や胼胝(タコ)の改善に適しており、患部は角質化しているため熱く感じないことが多いです。

魚の目には 1ヶ月ほどお灸を継続する必要があるため根気がいります。

大きなものは時間がかかりますが、患部がポロッととれてとてもきれいによくなった経験が5例ほどあります。

今は時間と手間がかかるため専用の医薬品や皮膚科で処置をしてもらうことが一般的です。

またウイルス性のイボの可能性もあるので注意が必要です。

打膿灸(だのうきゅう)

米粒から大豆の大きさ、大きいものでは親指ほど艾炷(がいしゅ)を使い火傷の残るお灸をします。

お灸をした場所に専用の膏薬(こうやく)を塗ることがあり、故意に化膿させることで免疫力が高くなるとされています。

大きな火傷となるため一般の鍼灸院ではしないことが多いです。現在も家伝のお灸として一部の鍼灸院やお寺で行われています。

東京では「四つ木の灸」、大阪では「無量寺の灸」が有名です。

写真は東京灸法臨床研究会(2007年3月18日)の講習会風景です。
写真は東京灸法臨床研究会(2007年3月18日)の講習会風景です。

写真は東京灸法臨床研究会(2007年3月18日)の講習会風景です。

打膿灸で有名な「四つ木の灸」の三代目である板橋英子先生の打膿灸を学ばせて頂きました。

打膿灸を受けられた方は、お灸そのものよりまわりを押さえる先生の手の方が痛いと言われていました。まわりを強く押すのは熱さを緩和するためだそうです。

間接灸(かんせつきゅう)

皮膚の上に直接もぐさを置かないで、伝導熱や輻射熱を利用するお灸をするやり方です。

火傷が残らない無痕灸(むこんきゅう)で、温灸(おんきゅう)とも言われます。

隔物灸(かくぶつきゅう)

お灸の下に生姜、ニンニク、味噌、びわの葉、塩などを置いて伝導熱を伝えるお灸のやり方です。

下に置くものの薬効成分と温熱刺激を目的としたお灸です。

台座灸(だいざきゅう)、簡易灸(かんいきゅう)

薬局などで市販されており、シールやノリがついた台座や筒の上にもぐさがついるお灸でツボにはりつけて使います。

よく名前を聞く「せんねん灸」はこの種類のお灸です。

せんねん灸の写真

簡易灸にはいろんなメーカーや種類があります。火をつけるだけで使えるので家庭でのセルフケアに手軽に使えます。

台座灸の写真です

※外関(がいかん)というツボにお灸をしています。

棒灸(ぼうきゅう)

もぐさを紙で包んで棒状にしたお灸です。

ツボにかざしたり、びわの葉や和紙の上から押さえて使います。

輻射熱と伝導熱を利用しています。

棒灸をしている写真です。

※足のツボ(タイケイ)に棒灸をかざしています。

とても心地のよいお灸ですので小さな子供にも使うことができます。

様々な棒灸

灸頭鍼(きゅうとうしん)

ツボに鍼を刺して、その鍼の上の部分にもぐさをつけて火をつけます。

鍼の刺激とお灸の輻射熱を同時に与えることが出来るやり方です。

灸頭鍼の写真です

箱灸(はこきゅう)

箱灸用の器具を使ったお灸のやり方です。

輻射熱を利用しており温熱の範囲が広く、お腹や腰に使うととても心地の良いお灸です。

既製品もありますが、写真は木の板と金属の網で自作した箱灸です。

手作りの箱灸

お灸の動画

直接灸

八分灸、透熱灸(深谷灸法)のやり方を説明しています。

間接灸

棒灸(ぼうきゅう)のやり方を説明しています。

温灸器を使ったお灸のやり方を説明しています。

ツボに棒灸をしている動画です。

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