蓬庵で鍼灸や整体で施術している症状について、私見を中心に書いていきます。
今回は「適応障害(てきおうしょうがい)」についての解説です。
適応障害は近年に相談の多い症状のひとつです。この投稿を書いている今も数人の方を施術しています。
仕事に行くと体調が悪くなる。精神的にしんどくなる。
仕事に行くのが辛い、休みがち、休職している。
学校に行くと体調が悪くなる。精神的にしんどくなる。
学校に行くのが辛い、休みがち、休学や学校に行けていない。
こういったことをきっかけにメンタルクリニック、心療内科、精神科などに相談されることが多いようです。
適応障害(てきおうしょうがい)
仕事や学校などの環境に適応できず、ストレスが原因となり心身に不調がでている状態、また生活に支障が出ている状態とされています。
その状態が続くことで、うつ病など他の病気になることもあります。
病院では、薬物療法、認知行動療法、ストレスの除去などの治療になっていきます。
休職には診断書が必要になるので病院で診断を受けてから来られる方が大半です。
投薬以外の方法も試したいということで鍼灸や整体の施術にこられます。
実は私の父も適応障害の診断を受けてしばらく休職をしており、その間は病院での治療とともに鍼灸での施術もしていました。今は仕事にも復帰しています。
適応障害はストレスとの関係も強いと言われていますが、発症当時の父は仕事での負荷がとても大きい状態にあったようです。
症状では、不安、無気力、イライラといった精神的な面だけでなく、頭痛、腹痛、肩こり、過呼吸、息苦しさなど身体的な症状もでてきます。
鍼灸や整体の施術では、それぞれの症状のお身体の状態に応じて施術していくことになります。
その方により症状が多岐にわたりますが、学校や職場など症状が悪化する場面がはっきりしていることが適応障害の特徴です。
そのため自宅や安心できる環境では症状がわかりにくいことも多く、趣味などを楽しんでいると怠けている、気持ちの問題だと思われることもあり、それがかえってご本人の焦りやストレスになってしまうこともあります。
体調が悪くなるストレスがはっきりしている場合いは原因を減らすことが大事ですが、生活のために会社をやめることができなかったりと難しいこともあるのが現実です。
鍼灸や整体の施術でできることは、身体の緊張を緩和したり、精神面を落ち着かせる効果がある施術やツボを使っていきます。
東洋医学では、心身一如(しんしんいちにょ)という言葉をよく使いますが、「ココロ」と「カラダ」は密接に関係をしています。
適応障害の方は身体の緊張がとても強いことが多く、身体の緊張を緩和してあげることで精神的な側面にも余裕がでてきます。
どうしても病院が嫌という場合でなければ、基本的には西洋医学的な治療とともに鍼灸や整体の施術をすすめていくのが良いと思っています。
また医師との相性はすごく大事なことだと思います。通院している病院の医師があわないと思ったら、他の医師に相談するのもひとつだと思います。
思春期のお子さんを専門にみている病院もあったりするので調べてみてください。
適応障害ではストレスや生活環境が大きく関係していることが多いので、まずはしっかりとカウンセリングをさせていただきます。
施術では、頭、首、肩、胸郭(肋骨、胸骨、背骨)の緊張が強いことが多いので、それを緩和することを目標にします。
また精神的な側面へは頭の緊張をとるヒーリングやツボを使ってアプローチをしていきます。
適応障害では人によって症状が違うので、それに応じて施術をしていくことになります。
体質や身体の状態に応じて有効なツボを選んでいきます。
緊張やイライラに関係する肝の臓のツボ、心配や不安に関係する心の臓や背中のツボを使うことが多いです。
内関(ないかん)、合谷(ごうこく)、太衝(たいしょう)、足三里(あしさんり)、膻中(だんちゅう)、百会(ひゃくえ)、神道(しんどう)、霊台(れいだい)、至陽(しよう)、心兪(しんゆ)、肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)、太渓(たいけい)、肩井(けんせい)など
スムーズに回復していく方もいますが、症状が長期渡っており改善が思うように進まない場合もあります。
焦りを感じられている方も多いのですが、症状が1度よくなっても仕事に復帰すると症状が戻ってしまうこともよくあります。
余裕をもって向き合っていく必要があります。
それでも施術によって日頃のしんどさが大きく改善したと喜ばれる方が多いです。
すごく期待されて来られる方もいますが鍼灸や整体は魔法ではありません。
劇的に良くなる保証はできませんが、施術を試してみるのもひとつだと思います。
蓬庵では無理に施術をすすめることはありません。ご相談だけでも大丈夫ですのでお気軽にご相談ください。
まずは無理をしないことが大事です。
なのですが、家でじっとしているだけでは身体がかたくなりやすく、体のだるさや重さの原因になります。
東洋医学の考えではじっとしてたり、気が滅入ることばかり考えていると「気」や「血」のめぐりが悪くなるとされています。
そのため適度な運動をする必要もあります。
体を動かしたことによる疲労感はでるかもしれませんが、気分がスッキリする部分もでると思います。
室内であればラジオ体操、外出することが苦痛でなければお散歩することもオススメしています。
趣味などがあれば気分転換やリフレッシュも大切です。
生活のリズムが崩れていくと復職がしにくくなるので、夜型の生活や昼まで寝たりすることは避けた方がいいです。
太陽の光にあたることも体内のリズムを作るには大切です。
近所や職場の人にあうことが気になるということも聞きます。車での移動が可能であれば、家から少し離れた公園などでゆっくり過ごすのも良いと思います。
急に症状がよくなるというよりは、ゆっくりと出来ることをこなして自信をつけていくしかありません。
気持ちは焦りますが、いまできることや楽しめることをさがしていくことが大切です。